09/01/09 国立劇場初春歌舞伎②「十返りの松」

【十返りの松(とかえりのまつ)】箏曲連中・囃子連中
中内蝶二=作 中村芝翫=振付
今井慶松=作曲 国立劇場美術係=美術
今回の配役は以下の通り。
松の精=芝翫 梅の精=福助
竹の精=橋之助 松の童=国生
松の童=宗生 松の童=宜生
筋書の解説によると「松は古来、長寿を象徴する縁起の良い樹木とされてきました。それは『百年に一度花が咲き、十回繰り返すと実をつける』という伝説に拠るもので、そこから“十返り”という別称が生まれました。この筝曲には長寿の祝賀が込められています」とのこと。
山田流筝曲の今井慶松の筝曲家団体十周年のご祝儀曲として昭和3年に六代目菊五郎が踊ったという。歌舞伎舞踊としての上演は今回が初めてということで、今の天皇の即位二十年記念の上演ともされている。私は特に祝う気持ちがないが、観ないということもないので純粋に芝翫が息子2人孫3人と一門を率いての舞踊として鑑賞。
孫3人による若松の踊り。長男国生は相変わらずの太めの身体だが一生懸命踊っていた。子ども時代に肥っていても思春期に体型ががらっと変わって痩せ型になった実例も知っているのでそれに期待。次男宗生は七之助にそっくりで驚いた。さすがに従兄だけある。宜生が一番小さいのに動きがいいので感心。この橋之助の3人の子息がどう成長するかは楽しみである。
梅の精の福助の女方の踊り、竹の精の橋之助の若衆の踊りも美しい。
最後に白っぽい衣裳で天女のような髪型で登場した老松の精の芝翫。美しいというのではないが、仏様のようなありがたい感じがして息を飲んでしまった。客席の三方に向かって仰ぎ見てのお辞儀をされていたが、こちらがお辞儀したくなるような実にありがた~い感じなのだ。
幕間のイヤホンガイドの特別インタビューでは、このように子どもや孫と同じ舞台に立つのは稀なのだとのことだった。節目の年に子や孫、一門を率いてこういうご祝儀の舞台を作り出せたというのは素晴らしいことだ。負担のかかるものは難しいが少しずつでも舞台に出て皆様に長く自分の舞台を観ていただけるようにしたいというお話もあった。やはり昨年10月の「藤娘」のような大作を一人で踊りきるということはこれからなくなるのだろうなと感慨深い。その言葉の通り、短い登場時間でもぴりりと舞台を引き締める舞台を長くお願いしたい。
お正月らしい筝曲舞踊というのも清清しかった。昨年1月の「鶴寿千歳」と同様、人間国宝の山田流の女性筝曲家・山瀬松韻さんを中心にした箏曲連中だった。今回初めて歌を歌われている方がそうだと気づき、あらためて筝曲家もこんなに歌うのだとわかった。筋書に山田流は歌が中心の流派で歌舞伎に通じるところがあると書かれていて納得した。
舞踊も演奏も人間国宝が揃った大舞台だったわけで、多人数の振り付けも舞台装置も含めてなかなか見応えがあり、居眠りもせずに堪能した
写真は国立劇場ロビーの鏡餅の飾り。さすがにでっかい!
1/9国立劇場初春歌舞伎①「象引」