13/02/16 染五郎の復帰を寿ぐ(1)日生劇場二月大歌舞伎「吉野山」

昨年の夏、松本流の舞踊公演での落下事故から復帰した当代染五郎の舞台を日生劇場二月大歌舞伎昼の部で観に行った。歌舞伎界のめでたい話題が続いて嬉しいということで書いておこう。
せっかく間に合う時間に出かけたのに、ハシゴの演舞場の名作喜劇公演でお会いする方に約束した忘れて取りに戻ったので、日生劇場に到着した時には冒頭の幸四郎の口上が終わってしまっていた(^^ゞ残念だ。
冒頭の写真は幕間に2階席の上から写した舞台の写真。花道も設けられ、定式幕の上には破風屋根に見える装置も取り付けられている。これは前にも観たなぁといくつかのキーワードでネット検索してみたら、2010年12月の歌舞伎公演で日生劇場で初めて取り付けられていることを確認(歌舞伎美人の情報はこちら)。
2011年12月も同様でいずれも記事アップできていなかったので今回ブログでは初アップ。舞台の縦横バランスを歌舞伎の舞台に合うように縦を短くするということをねらっているようで、これはいい工夫だ。
【義経千本桜 吉野山】
口上の浅葱幕が切って落とされるとすぐに「吉野山」。福助の静御前の常盤衣が刺繍ではなく織で模様を出している艶やかなものであることがまず目についた。旅をするために羽織るものにしては重そうだなぁと思ってしまった(^^ゞ
日大芸術学部芸術研究所サイトにある情報によると「常盤衣は、俳優の好みによって静御前が道行の場に着る、小袿に似た形態のもの」とのことだが、今回は五代目福助の衣裳の復元ということが筋書にあるらしい(これもネット検索情報より)。だからいいのかぁと納得。
さて、いよいよ染五郎の佐藤忠信実は源九郎狐が花道スッポンから登場。復帰の舞台の登場として客席の期待感が高まり、美しい二枚目の忠信の染五郎が上がってくるとものすごい拍手だ。
このお役は初めて観るがなかなかよい。福助の静御前で父の幸四郎が忠信という「吉野山」を2006年3月に観ているが、染五郎の忠信の方が若く、より主従にみえてよい。二人とも丁寧に踊っていて気持ちよく観ることができる。
竹本は東太夫で、2006年3月のPARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」でも大活躍していたことを覚えているが、語りが聞きやすいのですんなりと世界に入っていけるのも嬉しい。
染五郎は戦物語になるとより生き生きするし、狐手になって狐の本性がのぞくところも華奢な身体と敏捷な動きがより通力をもった狐らしくてよい。
静御前を追ってきた逸見藤太たち。亀鶴の藤太の三枚目ぶりが予想以上に達者な軽妙ぶりで、染五郎ともども若々しい2人が静御前をめぐって対峙するのが観ていて楽しい。
立ち回りも身体の動きがよいので楽しく観ることができ、舞踊では眠気に襲われることの多い私だが、今回の「吉野山」は楽しめた。この場の忠信は染五郎の持ち役にするのにいいのではないかと思えた。
(2)「通し狂言新皿屋舗月雨暈」に続く。