ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記 ♬ムラゴンブログ版

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/01/09 国立劇場初春歌舞伎③「競艶仲町」

ぴかちゅう


南北の復活狂言ということでおどろおどろしい場面もあるかもと思っていたら、この作品は「双蝶々もの」の書替狂言だということで全くの杞憂に終わり、面白く観ることができた。
2006年9月「双蝶々曲輪日記・引窓」の感想はこちら
【競艶仲町(いきじくらべはでななかちょう】四幕六場
四世鶴屋南北・二世瀬川如皐=作
古井戸秀夫=監修 国立劇場文芸課=補綴 国立劇場美術係=美術
今回の配役は以下の通り。
下総八幡村郷士南方与兵衛=三津五郎 妹お虎=芝のぶ
深川仲町の遊女都/娘お早=福助 姉・濡髪のお関=芝喜松
鳶頭山崎町の与五郎=橋之助 吾妻屋女房おさと=秀調
千葉家家中平岡郷左衛門=團蔵 
丸屋仁右衛門=権十郎 丸屋総領長吉=巳之助
丸屋番頭権九郎=市蔵 深川仲町の遊女お照=新悟

 序 幕 永代橋高尾茶屋の場
      深川仲町吾妻屋の場
 二幕目 浅草駒形米屋の場
      駒形堂うしろ河岸の場
 三幕目 下総八幡村与兵衛町宅の場
 大 詰 行徳船場の場

まさに「双蝶々もの」で御馴染みだったりそれに似たりの役名が並んでいるが、役の性格は踏襲していないものも多い。
あらすじはざっと書くと以下の通り。
「双蝶々」と同じ八幡村の郷代官の南方という名前だが、十次兵衛と違って下総の八幡村の与兵衛。この人物は一番もとの作品の性格に似ていて、真面目で誠実な人柄。江戸深川仲町の遊女都に思いを寄せて通い詰めている。しかしながら都は鳶頭山崎町の与五郎と深い仲でそのことを与兵衛に打ち明ける。与兵衛は男らしくすっぱりとあきらめると言って「都、命」の入れ黒子を腕から削りとり、二人に困ったことがあったら力になる約束までしてくれた。まさに男二人の「意気地くらべ」である。
与兵衛は妹お虎と二人で暮らしているが、同じ村の娘お早が惚れ込んでいる。そのお早は実の親とはぐれてしまって育ての親も亡くなり、実の親が見つかるように願掛けの写経を与兵衛の家来に預けている。一緒につけたお守りがめぐりめぐって濡髪のお関の手に入り、血のつながらない妹・都を丸屋仁右衛門の娘お早に仕立て上げ、都にぞっこんの平岡郷左衛門のものにする謀がどんどんすすんでしまう。
また丸屋は与五郎の主筋にあたり、郷左衛門と一味している番頭権九郎によって千葉家の重宝の香炉を盗み出されてしまった総領長吉が勘当の憂き目にあっている。
ところがお関や権九郎、郷左衛門の謀が与五郎にばれる。さらに長吉が権九郎を斬ってしまったところにかけつけた与五郎は権九郎にとどめを刺し、勢いでお関をも殺してしまう。八幡村の与兵衛のところに都を預けにいくが、与兵衛は都一人は預かれないと悩む。入れ黒子を女房代わりと独り者の誓いを立てた与兵衛の思いを知ったお早も腕を傷つけて独り者の誓いを立てていて、そのお早を娶って都を預かることにする。その中でお早こそ守り袋の持ち主であり、丸屋の実の娘と判明。
与五郎は郷左衛門から香炉を取り戻すべく追い詰める。与兵衛も助太刀して見事に取り戻したところに都もかけつける。与五郎の人殺しの罪も与平が仕える千葉家の殿様にかけあって計らいをうけられることになり、万事解決の幕切れ。

福助・橋之助は3演目全部に出演の奮闘。三津五郎の郷代官の南方与兵衛が実に魅力的な男。橋之助の与五郎との意気地比べも気持ちいい。「双蝶々」のお早が元遊女だったことから遊女都と村娘お早の二役という設定に書替えたのだと推測するが、その二役をくっきり演じ分けた福助。お早が一途に与兵衛を思う可愛さも遊女都の色っぽさも両方ともいいのだ。
團蔵・市蔵・芝喜松の悪役3人組も面白い。殺しの場もあるが、怨念の殺しでもなくおどろおどろしさもなくて南北でもこんな作品があるのかという復活上演となった。

お正月公演の演目として、邪気払いの荒事、祝儀舞踊、明るい内容でめでたい結末を迎える世話物の芝居という3本立ては、実に気持ちよく観ることができてよかったと思う。
ここ数年続いた通し狂言の復活上演もいいが、長くない小品の狂言の復活もいいものだと思うので、是非こういう取り組みを期待したい。

写真は今回公演のチラシからこの演目に関わる写真の部分を携帯で撮影。
1/9国立劇場初春歌舞伎①「象引」
1/9国立劇場初春歌舞伎②「十返りの松」
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